Liar Jack Records

存在しないアーティストの存在しないディスクレビュー。頭の中で音を鳴らせ。

第23回「ANGUS」ANGUS

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ArtistANGUS(U.S.A)
Title
ANGUS(1992)

Songs
01 Good Morning Mr.America
02 Walking Zebra
03 Red House
04 There's Something About
05 Sleep Drum
06 All at once
07 Emotion
08 Beans Girl
09 End of the Mississippi

1980年後半から、1990年代初頭に世界中のティーンエイジャーから絶大な支持を獲得したThe Blind alleyのシンガーであり、ソングライターでもあるANGUS。1991年のThe Blind alley解散から1年後、自身初のソロアルバムとしてリリースされた「ANGUS」。

The Blind alleyとして、シューゲイザーロックシーンの最前線を走っていた彼の初のソロ作品に、世界は大きな期待と、眼差しを送った。そんな期待とは裏腹に、世間からの反応は最悪と言える状況だった。The Blind alley時代のファンは、フィードバックやノイズ、エフェクターを複雑に用いたどこまでも深く、ミステリアスなサウンドを期待していたが、ソロになったANGUSの楽曲は恐ろしくPOPで、明るく、ポジティブであった。業界からも批判的なレビューが多く、「今世紀最大の駄作」「彼の才能は幻だった」など、多くの批判的な声が集まった。セルースも思うように伸びず、多くのファンが彼から離れていった。そして彼は人知れず音楽業界かひっそりと姿を消した。

しかし、今このアルバムをもう一度じっくり聴きなおしてみると、そこまで酷評されるような作品ではないように思われる。確かに、The Blind alley時代のように、暗く危険な香りは皆無に等しいが、オーソドックスでポップなアプローチに、独創的なメロディーや歌詞は、2000年以降のFountains Of Wayneや、The All-American Rejectsの新世代パワーポップの人気を見れば、むしろ時代を先取りしたアルバムとも言える。彼が目指したそのサウンドは10年早かったのかもしれない。現に、2000年代に入りこのアルバムは再評価され、彼の汚名は晴らされたのだが、ANGUSがシーンに帰ってくることはなかった。2018年の現在、彼の復帰を待つファンの一人として、いつか彼が帰ってくることを心から願う。

 

Design&Text: BustaSkill

 

これらのバンド、ジャケット、曲名などは全てフィクションであり、登場する人物、団体等、名称は実在のものとは関係ありません。脳内で音を鳴らしてお聞きください。