Liar Jack Records

存在しないアーティストの存在しないディスクレビュー。頭の中で音を鳴らせ。

第21回「Total amount」Total amount

f:id:bustaskill:20180221234135p:plain

Artist:Total amount(U.K)
Title
Total amount (1975)

Songs
01 Fraud
02 Reveal all
03 Stand yearning Clock
04 Death sentence
05 Previous sea
06 Care

オイルショックをきっかけに、不安定な経済状況にあったイギリス。そんな英国病と呼ばれた時代にデビューし、Led ZeppelinDeep Purpleなどのビックバンドの陰でHR/HMの基礎を築いたと言われるバンドTotal amountデビュー作。ブルースを基調に、クラシックやオペラなども積極的に取り入れたスタイルは、多くのファンに支持され、商業的にもある程度成功を収めてはいたが、今ひとつ注目を集めることはできなかった。

しかし、このアルバムは、ロックの音楽性拡大に大きく貢献した名作であると言える。特にギタリストのAndy Bruceのギタープレイは後の多くのギタリストに影響を与えた。ブルース的なアプローチを基礎に、クロマチックスケールやハーモニックマイナー、大胆なアームプレイなど、ペンタトニックスケールが主流だったロックギターでは新しい試みだった。このアルバムは、そんなAndy Bruceのギターを十分に堪能できる。

01「Fraud」のイントロのアルペジオフレーズや、04「Death sentence」のギターリフは彼の代表的なフレーズであると言えるだろう。インストナンバーの06「Care」の10分にも及ぶギターソロは、数多くある名ギターソロの中でも上位に入る名プレイだろう。

その後5枚のアルバムを発表し。メンバー交代を一度もすることなく80年代後半まで活動していたが、1990年、Andy Bruceが交通事故でこの世を去り、バンドは解散。音楽の多様化が進んだ現代にもう一度じっくり聞きたいアルバムである。

 

Design&Text: BustaSkill

 

これらのバンド、ジャケット、曲名などは全てフィクションであり、登場する人物、団体等、名称は実在のものとは関係ありません。脳内で音を鳴らしてお聞きください。