Liar Jack Records

存在しないアーティストの存在しないディスクレビュー。頭の中で音を鳴らせ。

第14回「Seven of tepid poison」The Five Five Fives

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ArtistThe Five Five FivesU.S.A
Title
Seven of tepid poison (1994)

Songs
01 Happy day
02 Testimony
03 Dog fanfare
04 The end of the world
05 Space punk
06 Hangover girl
07 Whose
08 Explosion
09 Red

1990年代、OffspringGreen Dayと共に90年代パンクブームを引っ張ってきたバンドの1つThe Five Five Fivesピストルズやクラッシュの様な、怒り、衝動、焦燥などでは無く、キャッチーでポジティブな90年代パンクは、人気と共に多くの批判も集めた。その中心にいたThe Five Five Fivesが人気を掴むきっかけとなった1stアルバム「Seven of tepid poison」。

インディーズレーベルからリリースされたにも関わらず1000万枚を売り上げる大ヒットを記録し、彼らは一躍ロックの次世代を担う存在だともてはやされた。それまで流行っていたNirvanaの様な、どこか陰鬱でアンダーグラウンドグランジロックや、オルタナティブとは正反対なポップで明るいサウンド。怒りや衝動性の無い保守的にもとらえられる歌詞などは、当時こんな物はパンクじゃないとインディーシーンからの批判も多かった。

しかし、このアルバムは、ロックやパンクに限らず、音楽の向かうべき方向性を示した数少ないアルバムであったと思う。それまでのロックのシーン、いわゆるグランジオルタナが持っていた、陰鬱で内的なものをそのまま表現するのではなく、それをポジティブで明るく、楽しい方向へと変換し表現した。

01「Happy day」の冒頭、「みんなが楽しくて、俺も楽しい。他に何がいるんだい。」という歌詞は、当時のロックが失いかけていたLOVEPEACEでは無いだろうか。ロックが本来持っていたポジティブな部分をThe Five Five Fivesは継承していたのだ。カートコバーンは自ら命を絶った。良い悪いは別として、それもロックかもしれない。しかし、彼らは前を向いて生きることを選んだ。この歩みがあったからこそ、今もロックは時代と共に走り続けているのではないだろうか。

現在、ロックンロールがそのイズムを失わずかき鳴らされている事実、それこそが当時、彼らが向かった方向が正しかったことを証明する何よりの証拠ではないだろうか。

Design&Text: BustaSkill

 

これらのバンド、ジャケット、曲名などは全てフィクションであり、登場する人物、団体等、名称は実在のものとは関係ありません。脳内で音を鳴らしてお聞きください。