Liar Jack Records

存在しないアーティストの存在しないディスクレビュー。頭の中で音を鳴らせ。

第9回「Retort」DOOSE

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ArtistDOOSEU.S.A
Title
Retort (1989)

Songs
01 Got Crazy
02 Lick
03 R.T.H
04 Trial and error
05 I quit immediately
06 Slang
07 The Star
08 Bullet mark
09 GDUA
10 Black sun
11 Three eyes

1970年代、ブロンクスの貧困街から始まったHIP HOP。数多くの伝説的先人によって発展していったそのサウンドは、やがてストリートから全世界へと広まっていく。DOOSEもそんなHIP HOPを語る上では欠かせない人物だろう。

Retort」は1988年に発売されたDOOSE1stレコードであり、後のHIP HOP文化に大きく影響を与えた1枚なのは間違いない。もともとBDPの取り巻き、ボディーガード的ポジションにいたDOOSEだが、スペクトラム・シティのDJ、ハンク・ショックリーに気に入られ、彼らのイベントなどにMCとして出演し、名を広めていく。1988年にデフジャムレコードと契約を交わし、1989年に「Retort」をリリースする。当時の流れであった、タフでパワフルなサウンドを軸に展開されるメッセージ性の強いリリックは、まさに時代を抉る力を持っていた。

グランドマスター・フラッシュの"The massege”を彷彿とさせる02Lick」を筆頭に、05I quit immediately」、07The Star」は、その強いメッセージ性と巧みな言葉選びが評価され、DOOSE3部作として後のHIP HOPにも大きな影響を与えることになった。90年代中頃の、東西抗争の中心人物であり、数々の悪行伝説を築き上げた2PACDOOSEからの影響が強く、自身のアルバムで10Black sun」をカバーしている。

1991年夏、スタジオから自宅に帰る途中だったDOOSEは、信号を待っている最中、隣に止まった車から何発もの銃弾を浴び、息を引き取った。当時、犯人は敵対していたギャング組織、熱狂的なファンの狂った行動など、多くの噂が立ったが、犯人が捕まること無く事件は迷宮入りした。

2001年、DOOSE殺害の謎をテーマにした映画「No Face」(邦:顔のない暗殺者)が公開されるなど、その影響は音楽だけにとどまらず、今もなお多くの支持を得ている事は言うまでもない。

Design&Text: BustaSkill

 

これらのバンド、ジャケット、曲名などは全てフィクションであり、登場する人物、団体等、名称は実在のものとは関係ありません。脳内で音を鳴らしてお聞きください。