Liar Jack Records

存在しないアーティストの存在しないディスクレビュー。頭の中で音を鳴らせ。

第7回「A級戦犯」戦犯

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Artist:戦犯(JAPAN
Title
A級戦犯 (1971)

Songs
01 斬首
02 ぶっころせ!!
03 特攻六九
04 真っ赤な兵士に捧げる詩
05 どろ水
06 鉄砲玉
07 教育~A級戦犯~
08 みぎむけみぎ
09 さよなら革命

ベトナム戦争反対を火種に、日本でも盛んになっていった学生運動。若者達が本気で世界を変えられると信じていた時代。1960年代後半から、1970年代初頭、後にゲバルト時代と呼ばれる赤い季節。その真っ只中に登場し、今も伝説となっているバンドは数多くいる。戦犯もそんな伝説的なバンドの一つではないだろうか。

1969年、マッシュ(木村寿一)、アニ(多田真弘)により結成された戦犯。過激なメッセージや、激しく暴力的なライブパフォーマンスは当時多くの若者から絶大な支持を得た。火炎瓶を客席に投げ入れたり、ゲバ棒で会場を破壊するなど、ライブではケガ人が続出し、数多くのコンサート会場やライブハウスを出禁になった。また、ゲリラ的に街中でライブを開催し、街中でパニックを起こし3度逮捕されるなど、危険なバンドとして世間からも注目を集めた。

そんな戦犯のファーストアルバムである「A級戦犯」。もともと1970年に発売される予定だったが、曲名や歌詞の過激な内容が問題となり、発売中止となってしまう。曲名や歌詞を一部改変し発売するも、発売後すぐに発売禁止処分となり、出回っていたものも回収になり大きな問題を残した。

しかし、1971年、自主制作で限定700万枚だけ発売され、あっという間に完売。ファンの間では破格の高値で取引されるようになる。そんな問題だらけのこの作品がCDとして発売されたのは、それから20年以上も経った2003年のことだった。04「真っ赤な兵士に捧げる詩」や、08「みぎむけみぎ」、09「さよなら革命」は政治集会などのコンサートでも積極的に演奏され、今では当時の学生運動を語る重要な資料として扱われている。

いつの時代も、ロックンロールは若者と共にある。このレコードからは、当時の若者たちの異様なまでの熱気と温度、そして枯れ果てるまで叫び続けた声が鮮明に記録されている。

Design&Text: BustaSkill

 

これらのバンド、ジャケット、曲名などは全てフィクションであり、登場する人物、団体等、名称は実在のものとは関係ありません。脳内で音を鳴らしてお聞きください。