Liar Jack Records

存在しないアーティストの存在しないディスクレビュー。頭の中で音を鳴らせ。

第4回「読書感想文」読書感想文

f:id:bustaskill:20170930012153p:plain

Artist:読書感想文(JAPAN
Title
:読書感想文 (2012)

Songs
01 金閣寺
02 雪国
03 それから
04 舞姫
05 
06 暗夜行路
07 鉄人Q
08 夜明け前
09 浮雲
10 金色夜叉
11 山椒魚

文学とロックの間に生まれた子、劍持昭二。「読んで感じたことをそのまま曲にしているだけ、ただの読書感想文で小学生にもできる。」劍持自身の言葉である。本を読み、その感想を曲にする。読書感想文というバンドはひたすらその工程を繰り返す。

現在までに、「読書感想文」「読書感想文」「読書感想文」の3作品がリリースされている。センセーショナルな演奏に、淡々と吐き出される言葉の数々。その言葉にはメロディーやリズムといったものが存在しない。こんなものを音楽にできるのは世界で劍持昭二だけではないだろうか。彼の独特の声質と彼自身が持つカリスマ性が、それを可能にしているのは間違いない。

彼自身は感想文と表現しているが、それぞれの文学作品が劍持昭二というフィルターを通過し、全く新しい作品として生まれ変わっている。フロントマン劍持昭二は言うまでもないが、彼をバックで支える精鋭達の演奏にも注目したい。もともとスタジオミュージシャンとして活躍していたスペシャリスト達が、劍持昭二という神輿をがっちり支えている。

それぞれの作品の雰囲気や、情景を感じさせる音作り、様々な日常音をサンプリングした効果音の使用など、正直、どこから何の音が出ているのか、何の音を使用しているのかさっぱりわからない。それほどまでにトラックの作り込みが複雑極まりない。この、スペシャルな神輿の担ぎ手達によって、劍持昭二の表現はより一層輝きを放つのだろう。

音楽活動以外にも、現代美術家としても活躍する彼にとっては、ロックもアートの1つなのかもしれない。彼の発言、行動にこれからも目が離せない。

Design&Text: BustaSkill

 

これらのバンド、ジャケット、曲名などは全てフィクションであり、登場する人物、団体等、名称は実在のものとは関係ありません。脳内で音を鳴らしてお聞きください。